Weiwei Zha氏は2011年にZaweeをパリ5区のカルディナル・ルモワーヌ通りに設立しました。Zaweeはパリの競争的なウインドウ・ショッピング市場に会社を首尾よく設立しました。なぜなら、Weiweiは常に最新のファッションについての情報を取り入れ、毎週彼女のコレクションを更新しているからです。2012年、彼女は2店舗目のショップを17区のレヴィ通りにオープンしました。会社の成長とともに、在庫の手動での管理はZaweeの課題となりました。Weiweiは全ての商品の組み合わせとサイズ・カラーの変化をこれ以上覚えることができませんでした。誤った在庫の想定により商品が売れ残ってしまうと、積み重なったミスは最終的に顧客を失うリスクにつながる可能性があります。
そしてWeiweiは、彼女自身にITの経験はなかったものの、友人のJean Paulを通じてERP5と個々の追跡可能な項目に基づいたERP5の在庫管理のコンセプトを知ることとなりました。彼女はオンラインショップにより彼女のビジネスがさらに進化する可能性をもたらすERP5 eCommerceについても学びました。最終的にWeiweiはERP5に基づく統合されたeCommerce、POSを導入し、彼女の小売業の在庫管理における解決策の実行をNexediと契約することを決定しました。
企業プロフィール
会社名 |
Zawee |
従業員 |
3名 |
創立 |
2011 |
立地 |
パリに2店舗 |
改善目標と顧客の参加を通じて事業の時間と費用を削減
2012年7月、weinparisプロジェクトはZaweeへのERP5の導入により達成されるべき改善目標の決定からスタートしました。大抵は詳細な必要条件の分析からスタートする大きなERP5のプロジェクトとは別に、改善中心の実行手段は小さなプロジェクトに好まれます。なぜなら、それは架空の未来について永遠に議論することなく、顧客のビジネス向上のための実際のソフトウェアに働きかける時間や費用を削減するからです。Weiweiとともに、ZaweeのERP5導入にあたり①正確な在庫の把握を達成する ②フロントオフィスとバックオフィスの間で緊密に統合されたオンラインショップを提供する ③ソーシャルネットワークの統合によるロイヤルティ・プログラムを実行する という3つの目標が立てられました。
事業費用の削減を助けることができるさらなる手段は、顧客の参加です。weinparisプロジェクトのために、Weiweiはカテゴリー配列と呼ばれるERP5の基本的な配列を自ら行ないました。Weiweiはオンラインショップのウェブサイトも自らデザインしました。
ERP5で作られたweinparisオンラインショップのデザイン
この準備作業が終了するとともに、即座に実際のERP5の導入は進行しました。2012年8月上旬、プロのウェブデザイナーであるAlainはWeiweiによって作成された未加工のデザインを二日間でHTMLコードへと変換しました。Jean PaulはそのHTMLコードをERP5Webにコピーし、製品カタログのようなERP5により活動的に生産されるべきウェブサイトの一部のウィジェットを追加しました(同じく二日間)。彼はViFibクラウドの中のSlapOS Webrunnerにおける事前構成されたTrade、PDM、Inventoryモジュールを既に伴う基本的なERP5の実例を要求し、ERP eCommerceを導入しました。
残りの1.5ヶ月は、NexediのプロジェクトマネージャーであるRafael Monneratが新たなERP5 POSの開発、ラベル印刷のためのERP5 Barcodeの統合、ERP5 eCommerceの支払い機能の拡大、weinparis ロイヤルティ・プログラムのためのFacebookの統合を行うために費やされました。
プロジェクトの重要な指標
プロジェクト名 |
weinparis |
サービス開始 |
2013年1月 |
システム開発 |
Nexedi SA |
開発期間 |
3ヶ月 |
導入したモジュール |
Trade, POS, PDM, Invenotry |
商品のバリエーション数 |
1486 商品, 6159 バリエーション |
ユーザー数 |
3 |
取引モデル数 |
549 |
個別のバーコードラベルを伴う正確な在庫管理
最初の改善目標である在庫の正確な把握は、”アイテム”と呼ばれるERP5の中心となる概念を利用することで達成されました。アイテムはERP5の中で個々の製品を表します。アイテムの管理は、全ての製品のライフサイクルを越えてそれぞれの製品の追跡を可能にします。ERP5 TradeでZaweeの仕入れ先の一つへの新たな注文が作成されるとすぐに、購入された製品の数をもとにERP5のアイテムモジュールで新たなアイテムが作成されます。バーコードレベルはそれぞれのアイテムに1枚ずつ、注文内容から直接プリントされます。仕入れ先からの配達が到着すると、Zaweeの従業員がそれぞれの製品にラベルを貼り付けます。仮に何枚かのレベルが余った場合、それは配達された製品が不足していることになるため、数量の確認はこの作業の中で自動的に行われます。ラベルは注文時にあらかじめプリントされるため、購入した製品の受け取りの際にコンピューターは必要ないのです。
一度貼り付けられると、バーコードはある店舗から他の店舗への移動、顧客への販売、そして返品など、製品の全ての移動で使用されます。製品が返品された場合、Zaweeはそれが本当に売られたものなのか、誰に売られたのか、いつ売られたのか、などを確認することができます。さらに、それぞれの製品に個別のバーコードが貼られていることは、エラーを防ぎ、在庫管理ユーザーのインターフェイスを簡単にします。(たくさんのアイテムがある店舗から他の店舗へと運ばれる場合、それぞれの製品はスキャンされます。)個別のナンバーは、同じ製品が2回スキャンされることを防ぎます。
多様な製品の変化と多様なストックポイント(Zaweeの各店舗)へのERP5の革新的なサポートにより、正確な在庫管理を行うための追加作業はなくなりました。ストックビューは、それぞれのストックポイントに製品の種類(Zaweeではカラーとサイズ)に応じて購入可能な製品の数を示します。このようにして、製品を一度登録するだけで、それぞれの種類に応じて正確に在庫を確認できます。
POSの成功の鍵
weinparisプロジェクトは、好結果のPOSシステムを実行するための重要な教訓を与えます。最初の教訓は、ヨーロッパは、日本ほどインターネット接続は強力ではないものの、POSに基づく純粋なインターネットは可能だということです。さまざまな要因がPOSの信頼性に影響します。コンピューターやプリンターのハードウェアの障害や、プリンターとコンピューターの接続障害、ルーターの配列ミス、プリンタードライバーの設置ミス、停電、コンピューターへの電力供給の故障、製品が適切にシステムに登録されていない、などです。どれだけの出来事がPOSシステムを壊す可能性があるかと比べれば、インターネットの信頼性は問題ではありません。weinparisプロジェクトは、POSが上記の原因の一つで使用できなくなった場合に、例外に対処する明確な方法を用意しておくことの重要性を示しました。Zaweeの対処法は次のように定められています。POSが利用できなくなった場合、売上金額の計算は手動で行い、箱の中の全ての商品のラベルを集めることとします。そして、夜間にすぐに全てのラベルを自宅などにある他のコンピューターでスキャンします。この方法をとれば、POSが何らかの理由で使用できなくなったとしても、業務を続行することが可能です。
POSを成功させるための2つ目の要素は、動作中に割引を追加することへの優秀な柔軟性を持つことです。一般的にERPシステムの取引モデルは、どんな状況でどのくらいの割引が求められたかをもとに定められた厳密なルールに基づいています。地元の顧客との人間関係によって運営されている小さなお店にとっては、効果的に割引のルールの例外を行うことが重要です。例えば、友達に対して値引きを行う、現金での支払いに対して割引を行う、期間限定でいくつかの商品を値下げする、などの方法が挙げられます。weinparisプロジェクトでは、いつ今まで使われたことのない新たな割引が登録されても、動作中に取引モデルを直接作成することでこの難題が解決されました。このように、ERP5の取引モデルシステムは他のプロジェクトと同様に利用することができ、そして、同時にPOSは小さなお店が求める動作中の割引設定の柔軟性を確保しています。
パリのZawee店舗で動いているERP5 POS
成功的なPOSのための3つ目の要素は、返品された商品を素早く処理することです。お店にとって、返品された商品をすぐに売りに戻すことはきわめて重要です(欠陥がない場合)。ERP5のアイテム機能を使うことで、Zaweeでは返品された商品を販売時と同様にバーコードをスキャンするだけで処理できます。最後に、4つ目の成功要素は、ユーザーの使用法に関わらない効果的なPOSのユーザーインターフェースです。ERP5の素早い入力フォームにより、ZaweeのためにカスタマイズされたPOSのユーザーインターフェースはたった数日で完成しました。
フロントエンドのeCommerceとバックエンドのERPのためのたった一つの製品カタログ
Zaweeの二つ目の改善目標であるオンラインショップ(www.weinparis.com)の統合は、ERP eCommerceによって達成されました。ウェブデザインはすぐにERP5 Webにインポートされました。ERP5のフォームフィールドを、活動的にレンダリングするウェブウィジェットとして利用する能力は、独自のeCommerceウェブサイトの構成を簡略化しました。このプロジェクトは、フロントエンドのオンラインショップとERP5に基づくERPバックオフィスを統合するeCommerceの解決策は、専売店舗の解決策の常に変化するAPIを導入し、維持管理するよりもはるかに少ない費用で実行できることを示しました。
ERPのコアと統合されたeCommerceシステムの重要な利点は、たった一つの製品カタログ、在庫の情報を保存するたった一つのポイント、そしてたった一つの顧客のデータベースのみで完結することです。このように、製品の全てのデータはたった一度だけ入力される必要があります(それぞれのバリエーションの高画質の写真が必要)。分割されたeCommerceシステムとERPのコアを同期させる必要はなく、それは起こりうるバグのために大切なソースを削除します。ロイヤルティ・プログラムのためのポイントは、店舗での販売と同様にオンライン販売でも利用できます。また、ほとんどの専売店のシステムサービスは、ファッション業界では未だに一般的であるEANナンバーを持たない製品に対応していません。
eCommerceの一部を実行するにあたり、ERP5で使用されるポータルスキン技術の枠組みは大きな助けとなります。ERPのバックオフィスの中心的な部分に影響することなく、稼働中のERPシステムの独立した開発スペースでオンラインショップへの変換を行うことが可能です。これは、ショップの利用者ができるだけ簡単に支払いを行うのに特に役立ちました。プロジェクトの最終段階で、Nexediはシステムの中心部に影響することなく、継続的にeCommerceのユーザーインターフェースを改善することに成功しました。これは、ウェブショップのユーザーが利用中にERP5のコアにバグが発生するリスクを削減しました。Nexediは、2番目のデベロッパーがオンラインユーザーの利用中に並行して稼働する場合、weinparisのようなeCommerceプロジェクトはさらに早く達成されることを学びました。最新のオンラインショップを除き、今日のオンラインユーザーと同じくらい滑らかで簡単なものにするには時間を要します。
店頭での割引と同様にソーシャネットワークを運用するため、ERP5の会計コンセプトを再利用する
weinparisプロジェクトの3つ目の改善目標は、ソーシャル・ネットワーキングに基づくZaweeのロイヤルティ・プログラムを実行することでした。その狙いは、Zaweeの顧客がFecebookでZaweeの製品にいいねをした際にロイヤルティ・ポイントを付与し、彼らがインターネットでZaweeの製品を購入する意欲を促進させることです。ロイヤルティ・プログラムは、ERP5の会計システムと同様の機能を利用して実行されます。
全ての顧客は、オンラインショップのWebページで登録することで、ロイヤルティ・アカウントを取得できます。ロイヤルティ・ポイントは通貨の一種です。ERPにおいてロイヤルティを与えることは、商品が購入された際、その売買取引が”Earned VAT”アカウントをどのように評価するかを決定するVATルールのように、定められたロイヤルティ・ルールに乗っ取り、取引によってロイヤルティ・アカウントを評価することを表します。顧客のロイヤルティ・アカウントは、Facebookのいいねだけではなく、オンラインショップまたは店頭でロイヤルティ・カードまたはEメールアドレスを利用して商品を購入するごとにも評価されます。一定のポイントに達すると、顧客は特別な割引を獲得することができ、その後ポイントはアカウントから引き落とされます。ロイヤルティ・ポイントを店頭とオンラインのどちらでも利用可能にすることは、Zaweeのような若者に人気のローカルショップにとって特に重要です。
Facebookの統合について、Nexediはそれが常にバグを引き起こすことを学びました。APIについては全く保証がないため、それは常に変化しえます。したがって、残りのロイヤルティ・システムがFacebookのAPIに影響されないようにすることがとても大切です。
9月が終われば・・・
在庫管理、POS、オンラインショップ、そしてロイヤルティ・プログラムを含む完全なERP5システムは、プロジェクトの開始からちょうど3ヶ月後にあたる2012年9月に準備が完了しました。アパレルの小売業は、シーズンの移り変わりと緊密に関係しています。新たなウィンター・コレクションが9月中旬に到着したため、全ての商品を登録する十分な時間はなかったです。したがって、Zaweeは新たなサマー・コレクションが入荷する前の2013年1月に正式に手動での管理からERP5へと切り替えました。Weiweiが従業員と同様にITに関する知識が全くなかったことを踏まえると、導入はほとんど瞬時でした。ユーザーのトレーニングもとても簡単でした。最も困難な部分は、注文と梱包リストの違いを明らかにすることと、なぜ注文のようなERPのドキュメントは透明性の高い行程を確保するために認証されなければならないかを説明することでした。
学んだ教訓
ヨーロッパでは、日本ほどインターネットが強力ではなくても、POSに基づいた純粋なインターネットを作成できます。 |
ソーシャルネットワークの統合では、FacebookのAPIにのみ頼るべきではありません。 |
インターネット接続とは無関係なさまざまな要因がPOSに支障をきたす恐れがあるため、手作業での例外への対策は必要不可欠です。 |
割引を期間限定のものにするため、ショップで使用されるERPにはシーズンごとにセールを行うための取引モデルが必要です。 |
商品の返品は商品の販売と同じくらい簡単に行われるべきです。返品された商品をすぐに売り場に戻すことはとても大切です。 |
オンラインショップでユーザーが支払い過程を完了するのには時間がかかります。二つ目のデベロッパーをユーザーインターフェースと並行して稼働させることは、どのeCommerceプロジェクトでも検討されるべきです。 |